バザー
バザーまでは1週間あった。
私はバザーが楽しみで、早く1週間が新幹線みたいな速さで過ぎ去ってくれないかと天に祈った。
翌日、教室で私が堂々と「バザーが楽しみだ」と宣言すると伊織が「でも大したものは無いじゃん」と水を差してきた。
私は以前のバザーで購入したクルトガとカドケシを見せびらかし、バザーは我々の学校生活をこんなにも快適にするグッズを提供してくれるのだ、と自慢げに言った。
正直、クルトガの方は近所の文房具屋で購入したものだったがバザーの良さを伊織に伝えるためにはここで登場してもらうしかないと考えたのだった。
すると伊織は私のクルトガを手に取りすぐさま自分の眉間に突き立てた。
私が呆気にとられていると伊織は高らかに宣言した。
「我、バザーの神。ここに在りしクルトガはバザーにて取り扱われていた品にあらず。しからば虚言を呈した汝に罰を与えん」
教室が光に包まれ、その光の中で私はバザーに関する記憶の一切を失ったのだった。