木星からの使者
夜、なんとなく寝付けなくて映画を観た。
「2001年宇宙の旅」である。
ラストの地球より大きい赤ん坊が出てくるシーンが印象に残った。
自分もあのくらいの大きさだったらもっと楽しい人生が送れていたかもしれないと思った。
水を一杯飲んでから眠りにつこうとしたら枕元に気配がする。
サングラスにスーツ姿の男が立っていた。
「私は木星からの使者である」
体型は華奢なくせに随分と野太い声だった。
「何の用ですか」
「木星へ帰るための宇宙船代が足りなくなったので金を貸してほしい」
「いくらですか」
「2万円」
「なんで足りなくなったんですか」
「競馬でスッた」
「なんで僕のところ来たんですか」
「さっきSF映画見てたし私みたいな宇宙系のやつに優しくしてくれるかなー、と思って」
「なるほどねえ」
2万貸した。
木星からの使者はありがとうと言って去った。
普通に玄関から出ていった。
気になったので調べてみたら部屋の中から小型の監視カメラが8個見つかった。
動揺はしたものの明日も朝早くから仕事だったのでとりあえず寝た。