兜
大前健斗は小学4年の時から兜を被っていた。
「なんで兜を被っているの?」
大前健斗の友人だった広瀬寛治はある日聞いてみた。
すると、大前は「だって頭が危ないじゃないか」と答えた。
広瀬が「誰に狙われているわけでもあるまいし」と言うとすかさず大前は
「全人類が僕の頭を狙っているんだ!!!」と怒鳴った。
広瀬は大前の両親に早めに大前を精神科へ連れていくことを勧めたが、あいにく大前の両親も大前の兜をひどく気に入っていたため、その意見を完全に無視した。
大前は脂身の多い肉を食べたあとに必ずこう言う。
「まるで僕の頭みたいだね」
それを聞いた両親は大笑いするのだった。
一晩中大笑いするのだった。