孔雀のいる公園
「あの辺には孔雀のいる公園があるんだよ」
「へえ、珍しいね」
「しかも4羽もいる」
「いっぺんに見たら目はチカチカしそうだね」
「君は孔雀を見たことあるかい?」
「全くないね、父親が極度の動物嫌いで子供のときから一度も動物園に連れて行ってもらった記憶がないし、僕にもその気がある」
「そっかあ、僕は好きだけどなあ、動物」
「何の動物が一番好き?」
「オランウータンかな」
「オランウータンかあ」
「オランウータンのどこが好きなの?」
「具体的にどこが好きとかはないね、なんとなく漠然と好きなだけ」
「うちの父親も動物のことが漠然と嫌いだったなあ」
こうして熱せられた大鍋の中で会話していた二人の姿形は次第に歪んでいき濃厚なとんこつスープの中に溶け込んでいった。